扶養内で働くには?年収の壁を項目別にわかりやすく解説【2026年最新】
扶養内で働くには?年収の壁の種類と、有利な働き方を徹底解説
渋谷区代々木の税理士、畑間です。
「扶養内で働きたい」と考えたとき、多くの人が最初につまずくのが、年収の壁がいくつもあって、どれが自分に関係するのか分からないという点です。しかも2026年は税制改正によって金額そのものが大きく変わったため、以前の情報のまま「103万円を超えないように」と働き方を決めてしまうと、実はもっと働けるのに損をしている、あるいは逆に社会保険の面で気づかないうちに扶養から外れていた、ということが起こりえます。今回は、扶養内で働くうえで押さえておきたい年収の壁を、税金の壁と社会保険の壁に分けて、項目別に整理して解説します。

【早見表】年収の壁は以前からこう変わった
まずは全体像をひと目で確認しましょう。令和8年度税制改正・社会保険制度改正により、税金・社会保険それぞれの壁の金額は次のように変わりました。
| 壁の内容 | 種類 | 以前 | 現在(令和8年) |
|---|---|---|---|
| 住民税がかかる | 税金(本人) | 約100万円 | 約110万円→119万円へ(目安) |
| 所得税がかかる | 税金(本人) | 103万円 | 178万円 |
| 配偶者・親の扶養(税)から外れる | 税金(家族) | 103万円 | 136万円 |
| 配偶者特別控除が満額 | 税金(家族) | 150万円 | 169万円 |
| 配偶者特別控除がなくなる | 税金(家族) | 約201万円 | 約207万円 |
| 大学生年代の子:親の控除が満額 | 税金(家族) | 103万円 | 159万円 |
| 勤務先の社会保険に加入 | 社会保険 | 106万円 | 撤廃→「週20時間」へ(2026年10月〜) |
| 家族の社会保険の扶養から外れる | 社会保険 | 130万円 | 130万円(19〜22歳は150万円) |
そもそも「扶養」には2種類ある
「扶養内で働く」と一言でいっても、実は性質のまったく異なる2つの制度が混ざっています。この2つを分けて理解することが、年収の壁を正しく把握する第一歩です。
- 税金上の扶養(配偶者控除・扶養控除):あなたの年収に応じて、配偶者や親など「あなたを扶養している人」の税金が軽くなる制度。控除を受けるのはあなたではなく、扶養している側です
- 社会保険上の扶養(被扶養者):あなたの年収が一定額以下であれば、配偶者や親の健康保険・厚生年金に、保険料を負担せずに加入させてもらえる制度。あなた自身の医療保険・年金に関わります
この2つは判定基準もタイミングも別物です。税金の壁は「1年間(1月〜12月)の収入」で判定されるのに対し、社会保険の壁は「今後1年間の見込み収入」や「直近の給与実績」など、制度によって異なる基準で判定されます。
さらに大事な点として、
- 「税金の壁」は超えても超えた部分に税金がかかるだけであり、手取りが急減することは基本的にありません。
- 「社会保険の壁」は超えると保険料の負担が一気に発生するため、手取りが逆転することがあります。
いわゆる「働き損」が起きるのは社会保険の壁になります。
まずはこの前提を押さえたうえで、それぞれの壁を見ていきましょう。
【税金の壁】いくらまでなら所得税がかからない?
令和8年度税制改正により、基礎控除と給与所得控除がともに引き上げられたことで、税金に関する年収の壁は2026年分から次のように変わりました。
| 壁 | 内容 | 旧基準(〜2025年分) |
|---|---|---|
| 136万円の壁 | 配偶者や親などが「配偶者控除・扶養控除」を受けられる年収の上限 | 103万円 |
| 169万円の壁 | 配偶者特別控除が満額(38万円)受けられる年収の上限 | 150万円 |
| 178万円の壁 | 本人に所得税がかからない年収の上限 | 103万円 |
| 207万円の壁 | 配偶者特別控除が完全になくなる年収 | 201万円 |
それぞれの壁の意味を確認しておきましょう。
178万円の壁:本人の所得税がかからないライン
パート・アルバイトで働く本人の給与収入が178万円以下であれば、所得税はかかりません。
これは、基礎控除(62万円+一定の要件を満たす場合の特例42万円)と、給与所得控除の最低保障額(69万円+特例5万円)を合計した金額です。
従来の103万円から大きく引き上げられたことで、扶養から外れずに以前より多く働ける余地が広がりました。
ただし、この特例部分は本人の所得水準によって扱いが変わることがあるため、目安として捉えてください。(特例部分は国税庁の最終公表待ち)
136万円の壁:配偶者控除・扶養控除の対象になるライン
配偶者や親などが「配偶者控除」「扶養控除」を受けられるのは、扶養される側(あなた)の給与収入が136万円以下の場合です。これも従来の103万円から引き上げられました。
この壁を超えると、扶養している側の税負担が増えることになります。
169万円の壁と207万円の壁:配偶者特別控除の範囲
配偶者の年収が136万円を超えても、207万円までの間は「配偶者特別控除」という形で段階的に控除を受けられます。
年収169万円までは満額の38万円控除、それを超えると年収に応じて控除額が徐々に減っていき、207万円で完全にゼロになります。
以前(103万円の壁の時代)と比べて、控除がなくなる年収のラインもかなり引き上げられた形です。
参考:住民税の非課税ラインにも注意
所得税とは別に、住民税には独自の非課税ライン(目安として年収100万円前後)があります。
住民税の非課税基準は自治体によって多少異なるため、正確な金額は お住まいの市区町村にご確認ください。
所得税がかからなくても、住民税(均等割・所得割)は一部かかる、というケースがある点も覚えておきましょう。

【社会保険の壁】扶養から外れて自分で社会保険に入るライン
税金の壁とは別に、社会保険(健康保険・厚生年金)には独自の年収の壁があります。こちらも2026年に大きな制度変更が予定されています。
| 壁 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 106万円の壁 | 一定規模以上の会社で働く場合の社会保険加入義務の基準 | 2026年10月に賃金要件を撤廃予定(週20時間要件は残る) |
| 130万円の壁 | 配偶者や親の社会保険の扶養(被扶養者)から外れる基準 | 2026年4月から「事業主が確認した年間収入の見込み額」で判定 |
| 150万円の壁 | 19歳以上23歳未満の人に限り、社会保険の扶養にとどまれる基準 | 大学生世代向けの緩和措置 |
| 180万円の壁 | 60歳以上の人・一定の障害がある人の社会保険の扶養の基準 | 従来からある制度(今回の改正対象外) |
106万円の壁:2026年10月に賃金要件が撤廃予定
従業員数が一定規模以上の会社で、週20時間以上働き、かつ月額賃金88,000円(年収換算で約106万円)以上になると、社会保険への加入義務が生じます。
この「賃金要件」が、2026年10月に撤廃される予定です(法改正の正式交付待ち)。撤廃の背景には、最低賃金の引き上げにより、週20時間働けばほとんどの人が自然と年収106万円を超えるようになり、賃金要件を残す実質的な意味が薄れたことがあります。
撤廃後は「週20時間以上働いているかどうか」が中心的な基準になる見込みです。なお、加入対象となる企業規模の要件(現在は従業員51人以上)も、2035年10月にかけて段階的に縮小され、最終的にはすべての企業が対象になる予定です。
130万円の壁:2026年4月から判定方法が変更
配偶者や親の社会保険の扶養(被扶養者)に入り続けるためには、年収が130万円未満である必要があります。106万円の壁が撤廃されても、この130万円の壁自体がなくなるわけではない点に注意してください。
2026年4月からは、判定方法が「実績ベース」から「労働契約書に基づく年間の見込み額」に変わります。一時的な残業や繁忙期の収入増によって、単月だけ収入が多くなったとしても、契約上の見込み額が130万円未満であれば、直ちに扶養から外れるわけではなくなる、という変更です。
複数の職場を掛け持ちしている場合は、すべての勤務先の収入を合算して判定される点もあわせて押さえておきましょう。
19〜23歳未満は150万円まで緩和(社会保険)
大学生など19歳以上23歳未満の人については、社会保険の扶養にとどまれる年収の基準が130万円から150万円に緩和されています。アルバイトを頑張りたい学生にとっては朗報ですが、後述する税金の「特定親族特別控除」とは基準となる金額も制度の目的も異なるため、混同しないよう注意してください。
60歳以上・一定の障害がある人は180万円まで
60歳以上の人や、一定の障害がある人については、以前から社会保険の被扶養者として認定される年収の基準が130万円ではなく180万円とされています。この基準は今回の改正の対象外で、従来どおり据え置かれています。
大学生の子がいる家庭は「特定親族特別控除」にも要注意
19歳から22歳の子(大学生年代)がアルバイトをしている場合、その子自身の年収が、親の税金に影響することがあります。これが令和7年度税制改正で新設された「特定親族特別控除」です。
この制度は 「合計所得金額」ベースで判定される仕組みで、国税庁が公表している基準は次のとおりです。
- 合計所得金額123万円以下:満額63万円の控除
- 123万円超〜197万円以下:所得金額に応じて控除が段階的に逓減
- 197万円超:控除なし
給与収入ベースに換算した場合、 一般的な試算では 「159万円程度まで満額」「188万円程度でゼロ」 と紹介されることがありますが、これはあくまで給与所得控除を当てはめた際の 概算値 であり、 国税庁は給与収入ベースの正式な換算表をまだ公表していません。
そのため、給与収入換算では159〜188万円程度とされるが、最終的な金額は国税庁の公表待ちという理解が正確です。
また、給与所得控除の適用方法や収入構成によって換算額が前後するため、情報源によって記載に幅が出る点にも注意が必要です。
なお、前述のとおり社会保険の扶養については19〜23歳未満で150万円までの緩和がありますが、これは税金の「特定親族特別控除」とは別の制度です。「学生は150万円まで働いても大丈夫」と単純に一括りにしてしまうと、税金と社会保険それぞれの基準を混同してしまうため注意してください。
項目別:どういう働き方をすれば何が有利か
ここまでの壁を踏まえて、実際にどう働くのが自分にとって有利か、目的別に考え方を整理します。
税金・社会保険どちらの負担も避けたい人
扶養の範囲内で負担を最小限にしたいのであれば、社会保険の壁(130万円、大学生(19歳~22歳)は150万円)を優先的に意識するのが基本です。税金の壁(178万円・136万円)よりも社会保険の壁のほうが低い金額に設定されているため、社会保険の扶養にとどまる働き方をしていれば、自然と税金の壁もクリアできることがほとんどです。
2026年10月以降は「収入」より「労働時間」がカギになる
106万円の賃金要件が撤廃されると、「年収を106万円未満に抑えれば社会保険に入らずに済む」という従来の考え方が使えなくなる会社が増えてきます。撤廃後は、週の労働時間が20時間を超えるかどうかが中心的な判断基準になるため、扶養にとどまりたい人は、時給の水準よりも「1週間に何時間働くか」をまず調整する発想への切り替えが必要になります。
世帯の手取りを最大化したい人は「壁越え」も選択肢に
社会保険の壁を超えると、新たに保険料の負担が発生するため、超えた直後は一時的に手取りが減ってしまう、いわゆる「働き損」が生じることがあります。しかし、社会保険に加入すること自体は、将来受け取る年金額が増える、病気やけがで働けないときの傷病手当金や出産手当金を受け取れるようになるなど、長い目で見るとメリットも大きい選択です。目先の手取り額だけでなく、将来受け取れる保障まで含めて、あえて壁を超えてしっかり働くという選択肢も検討する価値があります。
併用して考えたい:世帯全体の手取りシミュレーション
扶養内で働くかどうかは、本人の年収だけで決まるものではなく、配偶者や親の税率、勤務先の給与体系、将来のライフプランなど、世帯全体の状況によって最適な答えが変わります。「とりあえず130万円未満に抑えておく」という判断だけでなく、一度世帯全体の手取りをシミュレーションしたうえで、働き方を決めることをおすすめします。
まとめ:2026年は「年収の壁」を見直す好機
- 年収の壁には「税金の壁」と「社会保険の壁」の2種類があり、判定基準も金額も別物
- 税金の壁は令和8年度税制改正により、178万円(本人)・136万円(配偶者控除等)・169万円と207万円(配偶者特別控除)に大きく引き上げられた
- 社会保険の壁は、106万円の壁が2026年10月に賃金要件を廃止予定、130万円の壁は2026年4月から労働契約書ベースの判定に変更
- 19〜23歳未満は社会保険の扶養が150万円まで緩和、19〜22歳の子は税金面で「特定親族特別控除」の対象になることがある
- 扶養内にとどまるか、あえて壁を超えて働くかは、将来の年金や保障まで含めて世帯全体で検討することが大切
今回ご紹介した金額は、令和8年度税制改正大綱にもとづく最新の内容ですが、制度の詳細は今後の国会審議や省令で微調整される可能性があります。ご自身やご家族の状況に当てはめた具体的な試算については、実際に働き方を決める前に一度専門家にご相談いただくことをおすすめします。
執筆者紹介

代表税理士 畑間 彬宏
畑間税理士事務所 代表
大手税理士法人で10年間、上場・外資系企業の税務マネージャーとして従事。現在は渋谷・新宿を拠点に、スタートアップやフリーランスの「挑戦」を支援。「事業の成功をデザインする」を掲げ、会社設立から創業融資、クラウド会計導入まで、代表本人が直接伴走するスタイルを貫く。




