フリーランスの経費、どこまでOK?できる・できないの境界線

「これって経費になる?」フリーランスが知っておきたい経費の境界線
渋谷区代々木の税理士、畑間です。
確定申告の準備をしていると、「このスマホ代は経費にしていいのか」「家賃はどこまで認められるのか」など、経費の線引きに悩む場面が多いのではないでしょうか。今回は、フリーランス・個人事業主が経費にできるもの・できないものの境界線について、具体例を交えながら解説します。
経費として認められるための3つの原則
個人的な感覚で「これは経費になりそう」と判断する前に、まずは次の3つの原則を押さえておきましょう。
- 事業に直接関連していること:売上を得るために必要な支出であること
- 金額が社会通念上妥当であること:事業規模に見合った金額であること
- 証拠書類が残っていること:領収書やレシートなどで支出の事実を証明できること
この3つのいずれかが欠けると、税務調査で経費として認められない(否認される)リスクが高くなります。
自宅兼事務所の「家事按分」の考え方
フリーランスの経費でもっとも判断に迷うのが、プライベートと事業の両方に関わる支出、いわゆる「家事関連費」の扱いです。事業で使っている割合だけを合理的に計算して経費にすることを「家事按分」といいます。
- 家賃・火災保険料:事務所として使用している床面積の割合で按分(例:全体の1/3を仕事部屋として使っていれば家賃の3割程度)
- 通信費(スマホ・ネット代):業務での使用時間や通話・データ利用量の割合で按分
- 車両費(ガソリン代・車検代など):走行距離のうち業務利用分の割合で按分
- 水道光熱費:事業での使用実態が説明しにくいため、按分が認められにくい傾向がある
按分の割合に法律で決まった正解はありませんが、「なぜその割合にしたのか」を第三者に説明できることが重要です。使用時間や面積など、客観的な根拠をもとに割合を決め、その考え方をメモなどで残しておくことをおすすめします。
迷いやすい経費、具体例で徹底チェック
フリーランスの方からよくご質問をいただく項目を、経費にできるケース・できないケースに分けて整理しました。
| 項目 | 経費にできるケース | 経費にできない/注意が必要なケース |
|---|---|---|
| 飲食費・交際費 | 取引先との打ち合わせ・接待にかかった飲食代 | ひとりでの食事代は生活費とみなされる |
| 通信費(スマホ・ネット代) | 家事按分した事業使用分(例:使用時間・データ量の割合) | 全額を経費にするのは原則NG |
| 自宅家賃・水道光熱費 | 事務所として使用している床面積割合分の家賃など | 水道代・ガス代は事業関連性が薄いとされやすい |
| 交通費・車両費 | 業務での電車代、ガソリン代(走行距離按分)、駐車料金など | 駐車違反等の罰金は経費にできない |
| 書籍・セミナー代 | 業務に直接関係する専門書・セミナー参加費など | 業務と関係のない趣味の自己啓発費用 |
| パソコン・備品 | 10万円未満は全額、青色申告なら30万円未満も一定条件で全額 | 10万円以上は原則、減価償却が必要 |
| 被服費・美容費 | 業務専用の制服・作業着など | スーツや美容院代は生活に必要なものとされやすい |
| 家族への給与 | 青色事業専従者給与(届出・実態が条件) | 白色申告者は専従者控除に上限あり |
| 保険料 | 事務所・事業用車両の損害保険料など | 生命保険料は個人の保障目的とみなされやすい |
| 税金 | 個人事業税、事業用資産の固定資産税など | 所得税・住民税は経費にできない |
家族に手伝ってもらっている場合の「専従者給与」の扱い
配偶者や親族に事業を手伝ってもらい、給与を支払っている場合の扱いは、青色申告か白色申告かで大きく異なります。
青色申告の場合:青色事業専従者給与
事前に「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出していれば、労働の対価として妥当な金額を、上限なく全額経費にできます。ただし、実際に事業に従事している実態が必要です。
白色申告の場合:事業専従者控除
届出は不要ですが、控除できる金額に上限があります。配偶者は86万円、配偶者以外の親族は1人につき50万円が上限です(事業の利益額によってはさらに低くなる場合があります)。
将来的に家族への給与を増やしていきたい場合は、青色申告への切り替えを検討する価値があります。
これは明確にNG。経費にできない支出
- 所得税・住民税・国民健康保険料(社会保険料控除等、別の形で控除される)
- 生活のための食費・衣服費・娯楽費など、事業に関係のない支出
- 交通違反の反則金・罰金
- 家族・友人との私的な飲食代や旅行費用
「グレーゾーンだから多めに計上しておこう」という判断は、税務調査で追徴課税につながるリスクがあります。迷った場合は、計上せずに専門家に確認するのが安全です。
税務調査で否認されないための証拠書類の残し方
- 領収書・レシートは必ず保存する(青色申告は原則7年間、赤字の年は10年間)
- 領収書が発行されない支出は、出金伝票に日付・支払先・内容・金額をメモして残す
- 家事按分の割合は、どのように算出したか(面積・時間・走行距離など)をメモや資料で残しておく
- 2024年1月以降、電子取引でやり取りした請求書・領収書は電子データのまま保存することが義務化されている点にも注意
まとめ:迷ったら「説明できるかどうか」で判断する
- 経費計上の基本原則は「事業関連性」「金額の妥当性」「証拠書類」の3つ
- 家事按分は、面積・使用時間・走行距離など客観的な根拠をもとに割合を決め、その考え方を記録しておくことが重要
- 家族への給与は、青色申告なら上限なし、白色申告なら配偶者86万円・その他親族50万円が上限
経費の判断に迷ったときは、「これは第三者に事業のためだと説明できるか」を基準に考えてみてください。それでも判断がつかない場合は、無理に自己判断せず、専門家に確認することをおすすめします。畑間税理士事務所では、渋谷区・新宿区を中心に全国のフリーランス・個人事業主の皆様からの経費に関するご相談を随時お受けしています。
執筆者紹介

代表税理士 畑間 彬宏
畑間税理士事務所 代表
大手税理士法人で10年間、上場・外資系企業の税務マネージャーとして従事。現在は渋谷・新宿を拠点に、スタートアップやフリーランスの「挑戦」を支援。「事業の成功をデザインする」を掲げ、会社設立から創業融資、クラウド会計導入まで、代表本人が直接伴走するスタイルを貫く。




